SAAB 99 Turbo
22.5cm x 15cm
 
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SAAB 99 Turboです。ターボを積んだこの車は1976年に発表され、翌年に1978年モデルとして販売されました。これまで高価な高性能スポーツカーのみに搭載されたターボを乗用車に搭載するという試みは当時画期的なものでした。同じ出力だと6気筒エンジンよりも4気筒エンジンにターボをつけた物の方がずっと軽量に仕上がり、燃費もよくなる(一般道路での通常走行の場合)。SAABは航空機部門にて早くからターボの技術を導入しており、ノウハウはあったのです。乗用車にターボを搭載させた先駆者と言っても過言ではないでしょう。
99 Turboはラリー用に240hpまでパワーアップされ1978年にWRCに参戦。

翌年のスウェディッシュ・ラリーでターボチャーヂド・カー初の総合優勝を果たし、ラリー界でもターボは有効であると見せしめました。
その後99 Turboは他のラリーでも好成績を収めますが、SAABはラリー界からの撤退を決定。それは、1982年から施行される新しいレギュレーションに合致できるコンペティティブな車両を製作する資金もなく、また99シリーズの後継モデルの900シリーズはアッパー・ミドルクラスを狙っていたため、スポーツカーのイメージはSAABにとってさほど必要なかったのです。しかし、30年ものラリーの歴史をもつメーカーだっただけにとっても残念です。もし極端なレギュレーションの変更がなければ現在ラリー界ではかかせない存在であったかもしれません。
ご存じの通り、SAABは前のVOLVOと同じスウェーデンのメーカーです。スウェーデンは冬はとても寒くなるだけに、寒冷地に適した装備が備えられてます。シートヒーターや、ヘッドライトワイパー、サイドミラーヒーター(99では装備してないかもしれないですが)、等を装備し計器類も航空機のコックピットをイメージしたカチッとした作りのなかでボタン類を大きくし、グローブをはめた状態でも操作できるようになってます。ボディーもとても個性的で特に航空機のキャノピーを彷彿させるような湾曲したフロントウィンドシールドや一見平面にみえるが3次元曲線を描くサイドウィンドー、バブル状に膨らむリアウィンドー等は美しいラインを描きます。上から見たらスリットがないハーフカウル状のボンネットや、サイドシルのないドア(ボディーの下までドア部分となっている)等にもユニークな特徴をもっています。サイドシルのないドアだとボディー鋼製がなくなり、サーキット等では頼りなく感じるのですが雪道では適度な「しなり」をつくりスピン等を防ぐ働きがあるそうです。
実はわたしも以前93年式の900S(GM合併前の最終型)を所有していて、乗るほどに好きになる車でした。これは面白いなぁと思ったのが、イグニションがハンドル下ではなくドライバーズシートとナビシートの間、サイドブレーキあたりに位置していた事。それだけでとても特別な車に乗っている気分になれます。都合により手放してしまいましたが、また手に入れたい1台でもあります。