Lamborghini Jota
21.5cm x 9cm
 
illustration 6 top
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幻のスーパーカー、ランボルギーニ・イオタ。世界には数台のディーラー モディファイド・イオタ・レプリカが出回っていますが、このイラストのモデルは恐らくボブ・ウォレス(Bob Wallace)制作のオリジナルイオタではないかと思われます。
とにかく、格好良すぎです。ベース車のミウラと比較してかなり張り出したリアオーバーフェンダーに収まる極太タイヤや、ぎりぎりまで落とした車高、フロントブレーキを冷やすためにサイドにつけられたエアダクト、今となっては逆に新鮮に感じるチン・スポイラー等の改造がミウラの可憐なデザインを戦闘的なものに変貌させています。

イオタは、当時ランボルギーニのチーフテスターであった、ニュージーランド出身のボブ・ウォレス(以前はフェラーリやマセラティー等のレースメカニックをしていた。名車、「バードケイジ・マセラティ」の制作にも携わっていたそうです。現在はアメリカ、アリゾナ州にてスーパーカーのチューニングショップを開いているそうです)が制作したレース用車両です。ミウラベースの3.9リットルVー12エンジンは418(440?)bhp/8800rpmをはじき出します。ボディーやフロア、バルクヘッド等に軽量のアルミを多用し、サイドウィンドーはプレキシグラスのはめ殺し(スライドウィンドーがドライバーサイドに付けられる)に変更。
イオタ・レプリカとの相違点は大きく張り出したオーバーフェンダーに収まる極太タイヤはもちろん、ホイルもBBSのメッシュタイプではなくウォレスが制作したラリー・ウラッコと同じ物を使用し、ワイパーも1本。フューエル・キャップはフロントカウルの中心ではなく、フェンダーミラー後部にそれぞれ両サイドに付けられ、フロントバンパーの形状にも違いが見られます。レース仕様だけにキル・スイッチもフロントカウル上のエアダクト内に取り付けられています。イオタ・レプリカによく見られるルーフ上のアンテナもなく、ランボルギーニのエンブレムさえもないっ!ドア前方のフロントカウルにランボルギーニのステッカーが貼ってあるだけです。
イオタはもうご存じの通り、当時のFIAアペンディックスJ項、プロトタイプクラス用に制作されたため、社内では「J」というニックネームで呼ばれていたらしいが、それがいつのまにかドイツ語で"少し、希な、"という意味の「JOTA」と呼ばれるようになったそうです。しかし、「Lamborghini Jota」という名は正式な名称ではなく、後に制作されたランボルギーニ・ディラーによる公認レプリカを含む公道仕様の車検証やランボルギーニ社発行の証明書にも車名は「P400 "MIURA" SV Mod. Jota(P400 "ミウラ"SV 改イオタ)」と書かれているらしいです。
このイラストのベースになった写真は恐らくランボルギーニ・ファクトリーで撮影された物の1枚(背景からの推定)でオリジナル・イオタだと思うのですが、ちまたに出回っているイオタ・レプリカがオリジナル・イオタと同じ形状をもっていると信じていたため、「今まで騙されていたっ!」と思いましたよ。
「ランボルギーニはレースには参戦しない」というポリシーがあったので、このイオタはフェルッチオ・ランボルギーニ(ランボルギーニの創設者)に内緒で作られたという噂もあります。1度だけマイナーレースに参戦したのみで引退し、公道仕様の改造を受け売却。購入したオーナーは公道にて大事故をおこしてしまい廃車に。幻のスーパーカーとなったわけです。